製造業|工程別の配属と多能工化で、永住者を安定戦力として定着
ある精密機械部品の製造会社では、外国人採用を進める中で、永住者を対象とした人材活用に踏み切りました。
採用条件は以下のように設定しています。
- 日本語での現場指示を理解できる
- 工場の作業ルールにも慣れている(経験年数を必須要件とした)
採用前の主な課題は、以下のとおりです。
- 熟練者が育つ前に契約期間満了を迎える人材サイクルに限界があった
- 配属工程ごとに教育が必要で、研修コストとロスが大きかった
- 日本語での作業指示が通じず、安全性や品質にリスクがあった
永住者は、まず部品の目視検査工程に配属され、1週間のOJTで作業に慣れた後、3か月以内に組立と出荷準備にも対応できるようになりました。
作業指示書を日本語で読み取れることに加え、不明点を積極的に質問する姿勢が評価され、指導側の負担も大きく軽減されています。
また、配属1年後には、工程リーダーとして他の外国人スタッフのヘルプにも入り、繁忙期の欠員補填に大きく貢献しています。
この企業では、外国人採用について今後の展開として以下の取り組みを計画しています。
- 永住者を中心にした工程横断型のチームの拡充
- 技術職(NC旋盤、設計など)への社内資格制度と教育体制の整備
- 将来的な部門長や品質管理補佐など、管理職候補への育成枠の設定
このモデルケースでは、永住者の定着によって、製造現場における工程の安定化と教育コストの削減に大きく貢献できました。
とくに、段階的なスキルアップと役割拡大を見据えた計画が今後の人材戦略において不可欠な要素となるといえるでしょう。
接客業|ホテル・販売分野で永住者を即戦力化し、言語力と多文化対応を活用
接客業の中でも、ホテル業や小売業では外国人観光客への対応が日常業務の一部となっており、日本語と外国語の両方に対応できる人材が強く求められています。
しかし、採用の現場では、短期のアルバイトや留学生の時間制限によって、安定した戦力としての人材を確保することが難しい状況が続いている状況です
。ある地方観光都市のホテルチェーンでは、外国人対応を強化するため、永住資格を持つ外国人の採用を行いました。
対象となったのは、すでに飲食店などでの接客経験があり、日本語での敬語もある程度使える人材です。
観光地での勤務ということもあり、サービス業のノウハウを少しでも知っており、日本語に加えて英語や中国語を話せる点も高く評価されました。
採用前にこの企業が直面していた課題は、次のような内容です。
- 留学生や短期滞在者は勤務時間に制限があり、シフトが不安定になりやすい
- 顧客対応の質を保ちつつ外国語対応ができる人材が限られていた
- 日本語でのクレーム処理や電話対応が難しく、指導負担が大きかった
採用後は、フロント業務の補助からスタートし、チェックイン・チェックアウト時の案内や電話応対、予約確認などに段階的に対応しています。
敬語や丁寧な接客用語については、ロールプレイと動画マニュアルを併用しながら1か月で習得し、2か月目には日本人スタッフと同等のレベルで稼働できるようになりました。
ホテル側では、永住者の定着性とスキルの安定性を活かし、外国語を必要とする業務を優先的に任せるだけでなく、他スタッフの語学研修にも協力してもらう体制を整えています。
また、海外からの問い合わせやクレームへの対応も任せられるようになり、業務全体の質と幅が向上しました。
企業側では、今後の取り組みとして以下を検討しています。
- 永住者を接客リーダー候補として育成するための研修制度の整備
- 外国語対応業務の標準マニュアル作成と多言語研修の内製化
- クレーム対応や予約管理などを任せられる中核人材としての位置づけた
永住者の採用で、言語力と文化理解のある即戦力として機能し、他スタッフの教育や職場の多様性推進にもつながったといえます。
今後は、日常業務にとどまらず、チームリーダーや教育担当といった役割を担う存在としての期待も高まりました。
永住者採用の確認・準備チェック表
永住者の採用は、在留資格として制限が少ないものの、「何を確認したらよいのか」が曖昧になるケースも予想されます。
制度上の手続きが簡易である一方、職場になじんでもらうためには、採用前後の丁寧な準備が必要です。
ここでは、書類確認から面接時、契約後のチェックポイントまで含めて、永住者を採用する際に企業側が押さえておくべき項目をリストにしました。
永住者の採用時にご活用ください。
採用段階 | チェック項目 | 内容・目的 | 補足・備考 |
書類確認 | 在留カード | 「永住者」と記載、在留期限「なし」 | 身分系在留資格の確認 |
住民票・身分証明書 | 居住実態・家族構成などの把握 | 長期定着の参考情報になる | |
保険・税の加入状況 | 社会保険・住民税の加入状況を確認 | 納税義務を果たしているかの指標 | |
面接・対話 | 日本語能力 | 会話・読解・書記など、業務に必要なレベルを確認 | 実務に支障が出ないかを重点的に確認 |
職歴・就業スタイル | 過去の勤務内容、継続年数、業種とのマッチ度を確認 | 短期離職歴が多い場合は慎重に対応 | |
生活基盤・居住の安定性 | 家族構成、日本での生活意志などを確認 | 長期雇用への適性を見る | |
対人関係スキル・協働経験 | チームで働いた経験や文化の違いへの適応力を確認 | 日本人との協働に支障がないか | |
契約・配属準備 | 雇用条件の整合 | 日本人と同等の給与・勤務時間・待遇にする | 差別的条件は不可 |
配属業務の段階設定 | 日本語・技能レベルに応じた業務配分を検討 | スモールスタート+段階拡大が理想 | |
社内ルールの明確化・説明 | 安全・評価・欠勤連絡などのルールをわかりやすく説明 | 多言語対応または平易な日本語を使用 |
まとめ
永住者の採用は、単なる人手補充にとどまらず、職場の安定と多様性の推進に大きく貢献します。
製造業では工程リーダー、接客業では即戦力かつ教育係としての活躍が見られました。
採用時には、在留資格の確認に加え、日本語力や定着意欲などの実務面も丁寧に見極めることが重要です。
準備不足によるミスマッチを防ぐには、事前のチェック体制の整備が必要だといえるでしょう。
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