外国人社員の単純出国について企業が知っておくべきこと
外国人社員が単純出国をするケースは以下のとおりです。
- 特定技能1号が在留期間5年目等を迎え、他の在留資格に変更しない場合
- 技能実習が優良に実習を終え、他の在留資格に変更しない場合
外国人社員が退職して単純出国する場合
外国人社員が日本を出国する場合、2つのパターンがあります。雇用契約満了で外国人社員が退職し帰国する際は、単純出国での扱いとなります。
単純出国
在留期間の満了や今後日本での活動を継続しない場合は、再入国許可を取らずに出国する(単純出国)ことになります。
単純出国では、日本の住民票が無い状態になり、国民年金、または厚生年金保険の被保険者資格を喪失することになります。
外国人材にも以下のような手続きを行ってもらう必要があり、 企業側も確認しなければなりません。
- 住民票の抹消
- 国民年金・厚生年金の資格喪失届を出す
- 在留カードの返納
厚生年金や健康保険組合の資格喪失届に関しては、企業側が手続きを行う必要があります。
手続きを行わなかった場合には、出入国管理及び難民認定法(入管法)に抵触し、罰則が発生する可能性があることから入念に確認しましょう。
一時帰国
在留資格・有効な旅券・在留カード等を所持している条件で、出国後1年以内であれば日本での活動を継続するために再入国することができます。
この場合、みなし再入国許可が適用されます。外国人が母国へ一時帰国する場合には、みなし再入国許可を行ってから出国するようになります。
みなし再入国許可が適用される条件は以下のとおりです。
- 短期滞在以外の有効な在留資格がある
- 有効なパスポートと在留カードが必要
- 出国後1年以内に日本に戻る( 特別永住者は2年以内)
みなし再入国許可を使わずに出国し、再度日本に戻りたい場合は、新たにビザ(在留資格)の申請が必要になります。
たとえば、以下のようなケースであれば、在留資格の再申請が必須だといえるでしょう。
- EDカードで「再入国する意思あり」にチェックを入れ忘れた
- 1年以上帰国したままになり、みなし再入国許可の期限を過ぎてしまった
日本での活動を継続する予定がある場合は、出国前に必ずみなし再入国許可の手続きを確認し、適切に対応することが重要です。
企業が知っておくべき不法滞在・トラブル防止策
外国人社員が退職した場合、企業は出入国在留管理庁に「中長期在留者の受入れに関する届出」を14日以内に提出しなければなりません。仮に、提出しなかった場合には、入出国在留管理庁から調査が入る可能性があります。
また、 強制送還となった場合には 企業側にも責任が問われ、とくに悪質だと判断された場合には行政指導、懲役や罰金が課せられる可能性も否定できません。たとえば、強制送還となった外国人社員の場合、一定期間は日本へ再入国できなくなる点も知っておきましょう。
企業ができる対策としては、以下のような項目があります。
- 30日以内に出国する義務がある。 具体的な手続きや スケジュールを本人がわかるように説明したうえで理解してるか確認し、チェックリストなどを渡す
- 退職証明書や雇用契約終了書を発行し、 銀行口座の解約などの必要な手続きを社員に案内する。(日本人の退職と大きく変化しない)
- 出国の意思が見えないときは、出入国在留管理に対して事前に相談しておく方法も有効
まとめ
外国人社員が退職した場合、会社としてはどういった手続きが必要なのかを把握し、本人の手続きをサポートする必要があります。
加えて、不法滞在となった場合には、企業側も罰せられるリスクがあるため、把握しておきましょう。
LTBでは、「外国人と共に働きたい」という企業のサポートを行っています。長期的な視点から外国人を採用する場合には、企業側も守らなければならないルールに従って雇用を進めなければなりません。もし「外国人採用には前向きだけど、ルールは把握していない」といった場合にはお気軽にご相談ください。